Essay
これからのデザインに必要な古典を学ぶ

業務支援でAIを使うことが、いまや私自身の日常となりつつあります。
一方で、毎週一度の講師業では、学生にデザインを指導する中で、デザイン目的を立てる思考法や広告制作のレイアウト手法など、20年来変わらず伝え続けている型があります。
私たちの仕事の中では、機能と美の調和、社会的責任と倫理性など、時代を超えても模範となる理論、思想や文化が存在します。
そうした、型を何度も繰り返し、頭脳や身体で十分に動けるようになると、やがて目が開かれて、心の動きも自然に備わってくるものだと思います。
鎌倉時代の仏師・快慶もまた、はじめは数百年前の仏像を徹底的に模写したといいます。
やがて中期以降には、自らの個性を表現するようになり、東大寺南大門の金剛力士像(運慶との共同制作)や東大寺俊乗堂の阿弥陀如来立像を手がけました。
情報があふれ、先が読めない今の時代においては、 多くの人が息苦しさや迷いを感じているかもしれません。たとえ今は思うようにできなくても「守破離」で未来につなぐこと。
自分自身をはじめ相手や時代に受け入れ、つながるデザインを生み出したい、いつかは、自分なりの流儀を確立したいと思っています。