Essay

相手の意図を汲む、ということ。

2025年を振り返ると、
例年よりもロゴマークのご依頼が多い一年でした。
 
クライアントの仕事の現場に何度も足を運び、
話を聞き、質問し、また話を聞く。
そうした対話を重ねながら、ロゴマークを形にするための
言葉や概念、造形の定義をさまざまな角度から提案し、
何度も議論を重ねてきました。
 
ロゴマークの制作過程では、論理だけでは説明しきれない、
あるいは簡単には解けない課題に直面することがあります。
 
ロゴマークには、「現在」だけでなく「未来」においても、
事業の役に立たなければならないという性質があります。
つまり、クライアントの未来の姿において、
本当に使えるデザインなのか、という問いです。
 
限られた制作期間の中で適切な答えを導き出すためには、
多様な視点を持つことはもちろん、
総合的な教養や経験が不可欠だと感じています。
 
多様な価値観を受け止め、曖昧なものを咀嚼し、
過去から未来を読み解く力は、
短期間の研修や情報収集で身につくものではありません。
それは、対話と思考の積み重ねによって、
育っていくものだと思います。
 
デザインに限らず、どんな仕事でも「できるようになる」までには
とても長い時間がかかります。
そして、それと同時に必要なのは、
相手に与える姿勢であると感じています。
 
クライアントとデザイナー、
上司と部下という関係であっても、互いに向き合い、
正解を出す前に、課題を共有し、
意見を交わし、提案し合うこと。
 
その積み重ねこそが、
目指す未来へ進むための
確かな一歩になるのではないか、そのように思っています。