「KANNA TIME」ブランディングデザイン
本枯節と、それを削るためのカンナ、メンテナンスのための道具、それらを収納するための専用箱をセットにした商品。これは、鰹節を削る「体験」を売るものであり、well-beingなライフスタイルの提案を含んだものです。その商品ロゴやしおり、PR動画などを制作させていただきました。
この商品を企画・製造した河津商店様は元から、鰹節専門店として、「日本人が本能的に美味しいと感じることができる鰹節のうま味、香りを思い出してほしい」「削りたての鰹節の美味しさを伝えたい」という想いを持っていました。しかし、忙しい現代人は鰹節を削る時間を取れない人が多く、どうしたらもっと鰹節文化を広められるかを常に模索していました。
コロナ禍で在宅時間が増えたことをきっかけに、時間のかかる調理に挑戦する人や、体に良い豊かな食事を求める人、自宅で楽しめるコンテンツに興味をもつ人などが増え、そこで、削り節そのものだけではなく、「削る」という体験もセットにした「ライフスタイルを売る」という形の商品を企画することで、時代に合わせた形式で鰹節文化を広められるのではないかと考えたことをきっかけとして生まれた商品です。
本商品は、本枯節を削るために必要なもの一式をセットにしたことで、初めての人でも始めやすく、削り続けやすい環境を整えています。専用箱は、本枯節や道具類をコンパクトに収納できるため、習慣化・メンテナンスがしやすくなり、さらに調湿効果に優れる高級桐材で製作しているため本枯節の保存にも好適です。
専用箱を制作しているのは、同じ石岡市に拠点を構える高安桐工芸様です。器を入れる桐箱や桐箪笥の制作はもちろんのこと、トレーやティッシュケースなど、桐材の特色を生かしながら現代の暮らしに合わせた作品も精力的に作っているクリエイターです。日本文化を大切にする同志とのコラボレーションにより、良質な商品となりました。
弊社は、商品内容の企画段階から携わらせていただき、商品ネーミングから道具の収納配置の検討、箱の大きさや色などに関するアドバイスをさせていただきました。河津商店様と一緒に高安桐工芸様の工房を訪れ、細部まで三者で時間をかけて吟味した、とても思い出深い商品です。丁寧な暮らしに寄りそうイメージから、その世界観に合わせた静かでゆったりとしたデザインで全体をまとめています。
本商品は、「いばらきデザインセレクション2022」で知事選定に選ばれています。
”鰹節専門店が、鰹節本来のうま味と香りを思いだして欲しいとの想いから開発した、「削る」体験をセットにした商品。インスタントなモノ・コトに囲まれた忙しい日常の中で、削る行為に没頭し、その香りとうま味を確かめることで、安息のひとときが得られることだろう。シンプルで質の高い道具箱は食卓に置いても違和感がなさそうだ。意図とかたちが一体となり洗練されたまとまりに仕上げられている。“
(引用:いばらきデザインセレクション2022カタログより)
商品企画アドバイス/商品ロゴ/しおり/ポスター/PR動画
AD・D/佐藤 正和 撮影D/佐藤 歩美 動画編集/田口 一寿 写真・動画撮影/鹿島 秀憲