実績

金色だしそば河津庵 パッケージデザイン

有限会社河津商店 様

金色だしそば河津庵外装

 

河津商店様のインスタント常陸秋そば「金色だしそば河津庵」のパッケージをデザインさせていただきました。

この商品は石岡市にある鰹出汁専門店「河津商店」さんが開発したもので、煮出した出汁をかけてラップをして約4分待てば食べられるという、インスタント麺です。「常陸秋そば」を使用しており、「添加物不使用」で、「インスタント麺」、という特徴を持った、他には無い、非常に珍しい商品です。花かつおや七味と言ったトッピングまで付いて、5人前のギフトとして販売しています。

 

「金色だしそば河津庵」ポスター

 

 

この商品の最大のポイントは、「身体に優しい」「インスタントそば」というところで、特許も取得した独自開発のだしのパックにより、素早く美味しい出汁が抽出できるようになっています。添加物や塩分に頼らずとも、天然100%の出汁の旨味を最大限活かすことで、インスタントでも美味しいお蕎麦を味わえることや出汁文化の素晴らしさを伝えるべく、生まれた商品です。

 

付属している「かえし」は、常陸太田市にあるヨネビシ醤油さんで化学調味料を一切加えずに作ってもらっています。常陸秋そばも、桜川市にある柿沼製粉さんで挽いてもらったもので、こういった材料調達をなるべく県内の企業と協力して製造しています。

 

 

「金色だしそば河津庵」中身

 

 

そんなだしそばを作っている河津商店さんと出会ったのは常陽銀行が開催している「食の商談会」で各ブースを見て回っているときでした。河津商店さんが出汁の試飲を配っていて、そこで私たちの呼び名で言う「初代の出汁そば」を知りました。もともと常陸秋そばでは無く、パッケージも異なる状態にものを販売をしていたのです。「インスタントの蕎麦」というのを地方の会社が作っているというところが面白い、しかも出汁の会社なんだ、と関心し、とても興味を持ちました。

 

その出会いがきっかけで最初はチラシの制作のご依頼をいただきました。制作過程でお打合せの合間に工場見学をさせていただいたり、鰹節と一口に言っても様々な種類が有ることや、和食や出汁の文化を取りまく日本の状況、河津商店さんが食育活動や出汁文化を広めるための活動をしていることなど、様々なお考えや想いをお聞かせいただきました。

 

 

「金色だしそば河津庵」工場風景

 

 

POPやスライドショー動画なども制作させていただいたのですが、それらを作る過程でお話を重ねるうちに、そもそも、商品のコンセプトと狙うべきターゲットがまだ曖昧なのではないかという課題が見えて来ました。インスタントなのに少々高額であり、その高額となる理由、つまり「商品の魅力」を知ってもらうまでに手間がかかっていたのです。

 

健康志向の人々に向けた商品ということのがパッケージからわかるものにすれば、もっと欲しい人に届くのではないか、せっかく県内の企業と協力しているのだから、常陸秋そばに変更した方が茨城県のお土産としても売り出せるのではないか、
80年を越える老舗の出汁屋さんがつくっているだから、その品格や価値を表現に入れた方が出汁への想いがもっと伝わるのではないか・・・。そういったお話をさせていただき、商品自体のリニューアルをすることに至りました。

 

麺を常陸秋そばに変え、5人前にして、パッケージも健康に気遣う上品な女性に好印象をもっていただけるようにチェンジしました。外装には、「出汁」のおいしさにこだわっていて、化学調味料無添加、という潔さイメージして、真っ白で色味も綺麗な紙を使用した箱を作っています。商品名の筆文字は、凛としたしなやかな女性を思い起こさせるイメージをお伝えして、書家の方に書いて頂いたものです。商品名の後ろに敷かれている白い図形は、「出汁を注いでいる」という金色だしそばを調理する過程で最も重要なシーンを抽象化しており、出汁屋さんのこだわりを表現しています。全体的に少し高級感を纏わせたデザインにしたので、価格帯にも見合った商品に仕上がりました。

 

このようにリニューアルしたことで、体に優しいインスタント麺という機能的価値と、老舗出汁屋の品格、「常陸秋そば」イコール茨城という地方感をうまく合わせることができました。また、「上品だけど東京生まれの商品ではない」という、ちょっとした「掘り出し物感」を感じていただける商品となったため、遠方のお客様からのリピート注文も増えているようです。

 

リニューアル後、大変喜ばしいことに、「金色だしそば河津庵」は「日本ギフト大賞2020茨城賞」と「茨城デザインセレクション2020選定」に選ばれました。

 

 

「金色だしそば河津庵」受賞マーク

 

 

上記2つの賞をいただく前の2019年、県庁記者クラブでプレスリリース記者会見を行ないました。リニューアルが完成した段階で、ヨネビシ醤油さん、柿沼製粉さんにもお越しいただいて、弊社が段取りを組んだものです。直接受賞への足がかりになったかどうかはわかりませんが、こういった広報支援はとても大切な役割だと感じています。毎回どの案件でも、というわけにはいきませんが、デザイン会社として、「チラシを作って終わり」「ポスターを作って終わり」ではなく、マーケティングなどの視点も持ち合わせた、デザイン制作のその先の、広報や販路開拓まで考える頼れる存在としてお客様をサポートしていきます。

商品ロゴ/外装/しおり/ポスター/チラシ/POP/包装紙 等

AD/佐藤 正和 D/佐藤 歩美 写真/及川 隆史 題字(商品名)/小池汀蝶